本当に動かせられないのか?
肩が痛くて腕が挙がらないので、パーソナルストレッチを受けにきて頂いた、お客様のケースです。
お話を聞くと、ローテーターカフに問題があり、肩の可動域制限がありました。
安静時に痛みはなし。
自動運動で、外転100度、屈曲160度程度まで。
それ以上は筋肉が締め付けられる感覚が出て動かせられないよう。
次に横臥位で他動で動かすと、腕は耳に付くほど痛みなく動きました。
ご本人は驚いていましたが、
自分で動かすと痛いけど、他者に誘導されて動かすと痛みがない事は、良くある事です。
ただカラクリはあって、関節構造上正常な動きを誘導して動かしています。
でも、炎症反応が強い場合は正しく動かしても痛みは起こりますので、
今回のケースでは、炎症は抑えられていて、動かし方を変えれば痛みは解消出来る確率が高そうでした。
結果を言うと、ストレッチ後は立位で自分で動かしても腕が耳につくまで痛みなく動きました。
恐怖心の弊害
更にお話を聞いていると、大きな問題が分かりました。
それは、痛みへの恐怖心です。
怖いので首をすくむようにして恐る恐る動かすので、関節がつまるような動きとなり、可動域制限を起こし、痛みを誘発していました。
以前に治療を受けていた方から、
「動かさないように」と言われていて、
「動かしたら痛くなるんだ」と思い込んでしまって、肩を動かす事にも恐怖心が生まれていました。
その証拠に、私が他動で腕を挙げた直後に、ご自身で自動で腕を挙げてもらったところ、腕が耳まで挙がりました。
私が痛くない事を示したので、安心感が芽生えて恐怖のブロックが少し外れたからだと思います。
恐怖心は過剰な緊張感を起こすので、関節運動が異常となり、痛みを誘発する動きを無意識に選択してしまいます。
情報を整理して順番にステップを踏む
もちろん肩周りのストレッチをしたので、動かしやすさが高まり、ストレッチ後は更に腕が楽に挙がるようになりました。
そして、今後の改善策に肩のインナーマッスルのエクササイズをした方が良いか、ご質問を受けましたが、
やらない方が良い。とお答えしています。
やった方が良いのですが、肩甲骨と肘のポジションと動かし方に大事なポイントがあり、
ご自身で上手く出来ないなら悪化させる可能性があるので、違う事をお伝えしました。
胸や肩甲骨に対するセルフリリースをお伝えして、硬くなっていた肩周りの緊張をほぐす事が先とお話ししています。
それだけで、かなり肩は楽な状態になるはずです。
聞いたお話と、身体の評価から、
肩の不安感の消失と可動性向上を優先した方が、解決に近づくと考えたからです。
ネットでは、沢山の情報が合って方法そのものは正解なのだと思います。
でも、今の自分の状態には何を選択すればベストなのかは分からない事が多いはずです。
身体の問題を解決したいのなら、焦らずに小さいステップを踏んで一歩づつ進む事をオススメします。
それでも解決出来ないなら、自分では気付かないメンタル面の問題があるかも知れません。